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大ちゃん先生コラム
2025.04.07
「私は、あの子に思い知らせてやりたいのです」
90歳近くの優しそうなおばあさんから、とても静かに、しかしはっきりと紡ぎ出された言葉でした。
「長男には自宅以外に遺すものは一切ありません。病院の土地は、ここにいる次男に相続させます」
私は目が点になりました。こんなに強い「負の感情」を受けて、遺言書作成をお手伝いするのは初めてだったからです。
話を聞けば、おばあさんの家族は地方都市で代々続く、有名な「医者の家系」でした。亡くなった夫だけでなく、夫の父も、長男も、長男の子もみんな医者。亡夫は、地域の医療を支え続け、受勲もされた地元の名士。しかし、いわゆる「亭主関白」で、「男尊女卑」の考えを強く持つ人だったとのこと。「夫との生活は、なかなか大変でした」。ここまでは、おばあさんも微笑を浮かべていました。そう、お年を召した方が、昔の苦労を語る、よくある風景かと思われたのです。
「しかし、夫が亡くなった途端、あの子は天狗になって…」。そこからがらりと雰囲気が変わりました。病院を継ぎ、院長になった息子は、実の母であるおばあさんをないがしろにしたそうです。
「それだけではありません。嫁も、孫も、私をまったく気にかけてくれないのです」。おばあさんは涙を流されました。
「私は、長男一家と同居しているのに、いつも独りぼっち。嫁は、私を無視するか、嫌味を言うか。孫は、私の誕生日を祝ってくれたことすらありません」
おばあさんの目がまっすぐ私に突き刺さります。「この悔しい思いは、次男に引き継いでもらうことにしました。病院の土地は、夫からの相続で私の名義になっています。それを、次男に相続させる遺言書を作りたいのです」。一緒に来た次男も、医者以外の道を選んだことで亡父や長男との折り合いが悪く、おばあさんと同じように「負の感情」をお持ちでした。
「兄と戦います」。次男の言葉からも、強い決意が感じられたのを覚えています。
遺言書を作成して数年後、おばあさんは天寿を全うされ、私は遺言執行者として長男に電話をしました。
「遺言書は無効だ!私の病院の土地が、弟の名義になるなんて、あり得るか!」
私は、ありったけの罵詈雑言を浴びました。「訴える。弁護士に相談するからな!」。私は死ぬまで、この時のことは忘れないでしょう。その後、手続きは遺言書の通りに粛々と進みましたが、私の心に大きなダメージが残ったのは言うまでもありません。
私はプロ、「相続支援コンサルタント」です。皆さまの思いを受けて、相続対策のお手伝いをするのを生業にしています。ただ、できれば「愛」のある対策をお手伝いしたいと思っています。「憎」の思いを持っている人の相談は、もう私のところに来なければいいなあ…。そう願ってやまない、今日この頃です。
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