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大ちゃん先生コラム

2025.01.07

「自分の親が亡くなった時、特に手続きで困ったことはなかったよ」。相続相談をしていると、よく言われる言葉です。今回は昔と今で「変わらないもの」と「変わったもの」についてお話しします。

「わしは元〇〇だ。役場に知り合いもたくさんいるし、銀行も支店長と仲良くしているから、大丈夫だよ!」
「口座の凍結とか、全員の実印が必要とか、あなたは恐いことばかりを言うが、高いお金をかけて遺言だの信託だのする必要が本当にあるのか?」

 

 相談を受けていると、このような意見をよくいただきます。お気持ちは分かります。その方も決してウソは言われていません。その時は、その時代は、特に問題なくすんなりと進んだのでしょう。
 では、昔と今で「法律」が違ったのでしょうか。最近「法律」が厳しくなったのでしょうか。
 結論から言うと、違います。「法律」は大きくは変わっていません。変わったのは、人の「意識」です。
 「飲酒運転」の例で考えてみましょう。昔も今もお酒を飲んだら車を運転してはいけません。「飲んだら乗るな」という「法律」はずっと変わっていません。しかし、今は飲酒運転に対する世の中の「意識」が全く異なるのは、皆さんお分かりになると思います。
 コンプライアンス(法令順守)の「意識」も同じです。見ないことにする、聞かなかったことにする、口を閉ざして秘密にする…。昔は大目に見られたことでも、今は万一発覚した時のリスク、例えば訴訟されたり、批判が拡大したりする確率が、昔とはケタ違いに高いのです。あっという間にマイナスの情報が拡散してしまう昨今、昔と同じようにはできない時代になっています。
 以前、とある警察OBから聞いた話があります。先ほど例えに出した飲酒運転の「検挙数」が全国1位の県は、本当に飲酒運転の「件数」が1位なのかというと、実は違うとのこと。その県は「件数」が1位なのではなく、他県に比べ検問が多いので、「検挙数」が1位なのだそうです。
 「1位の県は、皆の記憶に残るようなとても悲惨な事故があり、飲酒運転に対する県民の意識が非常に高まった。そのため、検問の数が増えた。もし、公共のバスや電車が少ない県で、同じ数の検問をしたら、きっと1位は他の県になる…」。その方はそうおっしゃっていました。
 私はこの話がいまだに忘れられません。すべては人の「意識」なのです
「大丈夫。そんなに相続対策しなくても大丈夫。知り合いにこっそり頼めばなんとかなる…」。今は本当にそんな時代でしょうか。もしそうなら、なぜ相続サポートセンターの電話は、こんなに鳴り止まないのでしょうか。周囲をよく見て、もう一度考えてみてください。
高橋 大貴
上級相続支援コンサルタント、AFP(ファイナンシャルプランナー)として税理士・司法書士等と連携し、様々な相続問題の解決に奔走するかたわら、セミナー講師としても幅広く活躍する相続対策のプロフェッショナル。

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