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あなたからの 「未来へのプレゼント」 ~遺言による遺産の寄付〜
2024.12.12
増えつつある「遺贈寄付」
少子高齢化や価値観の変化を背景に、いわゆる「おひとり様」が激増しています。2020年の国勢調査によれば、50歳時点で婚姻経験のない「生涯未婚率」は、男性では28・3%、女性では17・8%です。平成初期の生涯未婚率が男女ともわずか5%程度であったことを考えると、この30年間での激増ぶりに驚かされます。この傾向は今後も間違いなく続くでしょう。
また、「おひとり様予備軍」も同じく激増しています。「子のない夫婦」「親と未婚の子」「子のない兄弟姉妹」といった二人世帯です。これらの方々は、一方がお亡くなりになった途端に、残された方は「おひとり様」になります。
相続人がいない「おひとり様」であれば、遺産は原則国庫に帰属です。実際、この10年間で国庫に入った「相続人無きさまよう資産」は倍増しています(2012年:375億円➡2022年:768億円)。
したがって、国以外のところに自分の財産を遺したければ、遺言書の作成は必須です。そんな「おひとり様」の中には、「自分が亡くなったら財産(の全部または一部)をどこかに寄付したい」という意向をお持ちの方も多く見受けられるようになりました。これを「遺贈寄付」といいます。また、「おひとり様」だけではなく、実はご家族をお持ちであっても財産の一部を遺贈寄付したいという方が増えています。社会貢献に対する意識が社会全体に高まってきている証ではないでしょうか。
国内資産は高齢者間で循環
現在、日本の金融資産の6割超は60歳以上の方が保有していて、これが10年後には約7割になると推計されています。そして、そういった方々がお亡くなりになるのは80~90代が多く、その場合は相続人の年齢が50~60代となるのが一般的です。
年間の相続財産は総額50~60兆円と言われていますが、その年代の相続人は若い人に比べると消費意欲は減退していますし、自分の老後不安も抱えていますから、相続された資産を積極的に使おうとはしません。大部分の資産を保有したまま高齢者となり、最後は認知症で資産凍結、そしてまた次の世代へ相続されるのです。
つまり、「国内資産の大部分は高齢者間で循環していて、若い世代や本当に支援を必要としている社会にはほとんど回っていっていない」というのが、日本が抱えている大きな問題点の一つなのです。
50兆円の相続財産のわずか1%でも遺贈寄付に回れば、5000億円の財産が様々な社会問題の解決に役立ちます。5%なら2兆5000億円です。
遺贈寄付は、あなたが人生の最後に残す「未来へのプレゼント」です。ただし、そこには税務・法務の両面でいくつかの注意点があります。それらを正しく理解したうえで寄付の意思を残さなければ、残念ながら必ずしも喜ばれるプレゼントにはなりません。
そこで、今回は遺贈寄付の注意点について代表的なものを挙げてみたいと思います(「相続財産から相続人が寄付」「信託契約による寄付」等も広義の遺贈寄付ですが、ここでは「遺言による寄付」に絞って説明)。
遺贈寄付の注意点とは
①受遺者(寄付先)に課される相続税・法人税
相続税の納税義務者は個人です。したがって、法人に遺贈寄付をした場合、相続税の負担を不当に減少する結果となると認められる場合でない限り、原則としてその法人に相続税は課税されません。こうした法人への遺贈は、その分だけ相続税の課税対象財産を減らすことになるため、相続税の節税にも繋がります。
また、寄付先が国や地方公共団体、特定の公益法人、認定NPO法人などの場合には、相続人が相続開始を知った日の翌日から4カ月以内に行う「準確定申告」において、遺贈した金額を寄付金控除の対象にすることができ、所得税の節税にも繋がります。
ただし、寄付先である法人は無償で資産を譲り受けることになるため、その資産の価額が収益の額とみなされ、法人税の課税対象になります。しかし、例外的に公共法人や公益法人等については、その寄付について法人税の課税は生じません。つまり、公共法人や公益法人等に対しては、相続税・法人税のどちらの負担もなしに遺贈寄付が可能ということです。
一方、寄付先が個人や法人格を持っていない団体(以下、「個人等」)の場合には、原則としてその個人等には相続税が課税されます。ただし、その個人等が公益的な事業を行っている場合には、非課税になることがあります。つまり、法人に寄付をした場合と個人等に寄付をした場合とでは、原則と例外が逆になるということになります。
②遺贈者(被相続人)に課されるみなし譲渡所得税
譲渡所得の起因となる資産(不動産や株式等)を遺贈した時は、その遺贈財産は時価で譲渡したものとみなされ、含み益があれば遺贈者(被相続人)に譲渡所得税が課税されます。
遺贈には、「金300万円を遺贈する」というように、財産を具体的に特定して渡す「特定遺贈」と、「全財産(の3分の1)を遺贈する」というように財産の全部または一定の割合を指定して渡す「包括遺贈」があります。特定遺贈の場合は、相続人が譲渡所得税の納税義務を承継します。相続開始後に相続人が行う準確定申告で納税をしなければならないということです。不動産や有価証券などの財産は寄付先に移転するにも関わらず、納税義務だけは相続人が負うこととなるため、相続人の納得感が得られずにトラブルが起きやすくなります。
したがって、相続人には遺言で譲渡所得税額以上の金銭を承継させるようにしておく必要があるでしょう。あるいは、受遺者である寄付先が譲渡所得税を負担する旨を遺言書に記しておくことも考えられます。
包括遺贈の場合は、受遺者である寄付先が譲渡所得税の納税義務者となることから、特定遺贈の場合のような相続人とのトラブルは生じません。ただし、寄付先が受け取った財産をその後スムーズに売却できればそれで得た金銭で譲渡所得税も支払えるのでいいのですが、できなければ納税資金をどう調達するのかという問題が残ります。
また、包括遺贈の受遺者は相続人と同じ法的義務を負うため、被相続人が所有していたプラスの財産だけでなくマイナスの財産も承継することになります。そのため、受遺者は被相続人の財産債務を精査しなければ遺贈を受けることが難しくなります。このようなことから、包括遺贈による寄付を基本的に受け付けていないところも数多くあります。
なお、国や地方公共団体への遺贈の場合は、手続きを要することなく譲渡所得税は課税されません。また、公益法人等に対する遺贈で一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについても、譲渡所得課税は発生しません。
③不動産を寄付する場合の注意点
不動産の遺贈寄付の場合は、前記の譲渡所得税以外に、受遺者に必ず登録免許税の負担が生じたり、特定遺贈の場合には不動産取得税も発生します。また、受け入れた不動産は直接事業に活用するか、難しい場合は売却して金銭に換えることになりますが、最悪の場合は活用も換価もできないことがあり得ます。そのような問題から、不動産の遺贈寄付そのものを受け付けていないところも数多くあります。
不動産そのものの寄付ではなく、相続開始後に不動産を換価して譲渡所得税やその他の経費を差し引いた残額を寄付する旨を遺言で定めておくことも考えられます(清算型遺贈)。
この場合は、一旦相続人が相続登記をしたうえで売却活動を行わなければなりませんが、相続人が遺贈寄付を快く思っていない場合は、スムーズに事が運ばない可能性があります。
この点、遺言執行者がいれば、相続人に代わって登記や売却の手続きを行うことができます。したがって、遺言書の中であらかじめ遺言執行者を定めておくことが不可欠となります。
いずれにしても、金銭と違って不動産の遺贈寄付に関しては様々な問題が生じやすくなります。生前に寄付先と十分な協議を行っておくことが必須となるでしょう。
④相続人に対する遺留分侵害
遺贈者に兄弟姉妹(及び甥姪)以外の相続人がいる場合は、その遺留分に注意しましょう。遺言寄付することによって、相続人の遺留分を侵害することになる時は、寄付先に対して遺留分侵害額請求権を行使されるおそれが生じるからです。
その際には、遺留分額の算定等で、相続人と寄付先との間で争いになるケースもよくみられます。せっかく社会貢献等を目的とした遺贈寄付をしたのにも関わらず、それが原因で争いが生じては目も当てられません。遺言書の作成時には、その点の配慮が不可欠です。
遺贈寄付をする場合には、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言によって公証人からの意思確認を積極的に受けておくことをお勧めします。また、相続人がいる場合はあらかじめ相続人の理解を得ておく方が無難ですが、寄付の動機や社会貢献に対する思いなどを付言事項として遺言書に記しておくのも一つの手でしょう。
なお、当然ながら寄付が実現されるのは遺贈者の相続開始後です。寄付を確実に実行してもらうためには、やはり第三者の遺言執行者を指定しておくことが望ましいといえます。
遺贈寄付は、何百万円、何千万円と高額でなければならないというものではありません。少額であっても立派な寄付です。
また、あくまでも「自分が亡くなったときに財産が遺っていたら(その全部又は一部を)寄付する」という意思を表明しておくだけのものであり、遺すことを相手に確約するものではありません。そのため、自分の老後資金を削ってまで無理をして財産を遺す必要は全くなく、その点でも安心です。
少額遺贈寄付のメリット
- 誰にとっても寄付しやすく、寄付文化が広がる結果、大きな資金が社会問題の解決に役立てられる
- 寄付先にとっても受け取りやすい
- 相続人(家族)とのトラブルになりにくい(相続人の納得感が得られやすい)
- 相続人(家族)に対して印象の残るものを遺すことができる
- 人生の最期に自分らしさの表現として残すことができる
少額で構いませんので、遺贈寄付という形のあなたなりの「未来へのプレゼント」を考えてみませんか。応援したいと思える分野(「子供支援」「動物支援」「医療支援」「環境保護」「災害復興」など)や地域(「地元」「日本国内」「世界中」など)を絞って、自由に寄付先を選んでプレゼントすることができます。
当社では、一般社団法人日本承継寄付協会が認定する承継寄付診断士を抱え、遺贈寄付に関するご相談の受付からその実現のサポートまでを積極的に行っています。寄付先の選定についてもお手伝い可能です。いつでもご遠慮なくご相談ください。
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