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◎相談事例◎ 子供の一人に財産を相続させたくない

2023.06.22

【内容】

相続相談です。

母84歳同居。私61歳長男、妹58歳未婚同居。姉63歳結婚して別居。

相続の自宅土地建物有り。母の意向では私と妹に分与したいとの事。

姉へは10年ほど前に500万円を貸して、返してもらってないから何も

渡すつもろはないとの事。借用書は無い模様。この場合どのような対応を

取れば母が亡くなった後揉めずに済むでしょうか?

 

【回答】

親子間でお金を貸したのか贈与したのか定かではない場合、金銭消費

貸借契約書も返済も無いとなれば、贈与と認定されるのが一般的です。

そして、生前のそのような贈与は、原則として特別受益(遺産の前渡し)と

みなされます。

したがって、相続開始後の遺産分割協議においては、被相続人の遺産に

特別受益の価額を加算した上で協議を行います。

仮に3人が均等に相続することで合意する場合は、上記合計額を3等分し、

生前贈与を受けていた者はその価額を差し引いた遺産のみを受け取る

ことになります。

 

一方、被相続人が遺言を作成していた場合は考え方が異なります。

遺言者は、遺言で自由に自分の財産の分け方を指定しておくことができます。

例えば、3人の子のうち2人に遺産を相続させ、1人には何も相続させないようにする

遺言も法的には可能です。

ただし、全ての子には、遺留分という「遺言でも侵せない最低限相続できる割合」が

法律で定められています。

法定相続人が子3人の場合、各自の遺留分は6分の1です。

そして、

・遺言で指定された遺産の取り分

・生前の特別受益(相続開始前の直近10年以内のものに限定)

を足しても自分の遺産分相当額に満たさなかった者は、他の相続人に対して差額を

金銭で戻すように請求することができます。

 

請求された方は、必ず金銭でこれを戻さなければなりません。

①遺言が無ければ、最大で法定相続分相当額

➁遺言があれば、最大で遺留分相当額

は財産を渡さなければならない可能性があります。

 

また、極力法的に揉めることのないようにするためにも、遺言書作成は必須

だと考えます。

その上で、「〇〇には生前に現金○○○万円を贈与しているので、このような分け方にした」

という旨を付言しておくといいでしょう。

それでも遺留分侵害になる場合は遺留分侵害額請求される可能性はあります。

請求されてしまったら、金銭を渡すしかありません。

 

なお、遺産の中に占める不動産の割合が大き過ぎて相手に渡す金銭がない場合、

・不動産を売却して金銭に換える

・不動産を取得した者が自分の保有する金銭を相手に渡す

のいずれかで対応することになります。

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