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◎相続事例◎マンションを貸し出すか売却するか

2023.04.18

【内容】

母所有のマンションを賃貸にして、賃貸料を母が入居している施設代や旅行代にしたい。

母が生きている間に売却の方が良いのか、判断する上でポイントはございますか。

 

【回答】

金銭的な損得という点では、以下が主なポイントになります。

①将来ご本人が亡くなった際の相続税

➁売却時の譲渡所得税

➂賃貸した場合に見込まれる賃料収入と維持費

 

①相続税

課税の可能性がまったく無いのであれば問題にはならないのですが、

課税されそうな場合は慎重な判断が必要になります。理論上、賃貸不動産の方が

現金よりも相続税評価額が低くなります。したがって、賃貸不動産の状態で持って

いた方が、売却して現金化するよりも相続税は安くなりやすいです。

 

➁譲渡所得税

遅かれ早かれ売却を見込んでいる場合、いつ売却するかで譲渡所得税が変動する

可能性があります。最も有利なのは、「本人が居住中」又は「本人が居住しなくなってから

一定期間内」に、本人が売却するケースです。逆に最も不利なのは、相続後に相続人が

そこに居住することなく売却するケースです。いつ売却するかで、税引き後の手残金額が

最大で600万円程度変わります。

 

➂賃料収入と維持費

毎年の固定資産税やマンション管理費など、保有し続ける限り維持費として支出しなければなりません。

また、賃貸に出すには部屋の補修が多少なりとも必要になります。中の荷物の処分にもある程度費用が

かかったりするかもしれません。更に、賃借人が退去する度に補修等が必要になりますが、経年劣化と

通常損耗によって発生する補修費は原則として貸主の負担です。それらの費用をかけて、賃料収入が

どの程度見込まれるのか。立地や間取りや築年数次第では、思った程の所得(収入-経費)にならない場合も

あります。

 

なお、金銭的なポイント以外にも注意すべき点があります。賃貸する場合も売却する場合も、所有者として

ご本人が契約行為をしなければなりません。したがって、万が一認知症等でご本人の判断能力さえあれば

可能ですが、賃貸の場合は貸主の場合は貸主として断続的な判断能力が必要になります。

・所有者ご本人がお元気なうちに、早めに売却又は賃貸する

・早めに結論を出せない場合や、賃貸する場合は子にマンションを信託しておく

というのが望ましいと考えます。子に信託しておけば、仮にご本人がその後認知症になったとしても、

子の判断と手続きで売却も賃貸も可能です。

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