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◎相談事例◎ 空き家の相続について

2023.04.04

【内容】

親が亡くなり高知県の田舎の家が空き家になりました。50年近く住んでいましたが、

建物登記がなく、建てた方は亡くなり分かりません。土地所有者は別の方で毎年5万

土地の賃料を払っています。土地所有者に解体して更地にするように言われています。

法律上解体しなくてはいけませんか。また荷物があり、春には荷物処分する予定ですが

土地所有者に解体して出て行くのが常識だろうと言われています。家を借りた時の

契約書類もなく、土地所有者も代が変わっており事情が分かる人がいません。

解体となると費用も大変ですし、相続放棄が出来るのかも回答お願いいたします。

 

【回答】

一般的に借地権には財産的な価値があり、地主の承諾を得る必要はありますが

第三者に売却することも可能です。借地権を買ってくれる人が現れず、相続人にも

そこを利用する意向がなければ、借地契約を終了させることになるでしょう。

その場合は、原則として借地人が建物を解体して更地で返還する義務を負います。

これに対して、借地契約が期間満了により終了となる場合には借地人には建物

買取請求権があるとされており、これを行使すれば借地人側で解体する必要が

ありません。

 

ただ、借地契約書も建物登記もないとすれば、いつから借りていたのかが不明なため

期間満了により終了したということの証明は難しいかもしれません。そうなると、貸主への

建物買取請求も難しいと考えます。最終的には、交渉事ですから、費用負担について貸主側と

協議するしかないでしょう。

 

もし建物所有者が被相続人等ではなく他人であった場合、その他人は利用制限がないにも

関わらず土地上に建物を所有して土地を不法占拠している形になります。この場合は、その

建物所有者が建物を解体する義務を負います。通常はそのようなケースはあまり考えられませんが・・・

 

「建物所有者が不明で困っている」「建物所有者をどのように特定すべきか」ということを、管轄の市町村

役場に相談してみてもいいかもしれません。その際、未登記建物の固定資産税納税義務者や実際にこれまで

納税してきた者が建物所有者であったと推認される可能性は高いと考えます。また、空き家問題等で建物解体費に

ついて支援金等が一部活用できる場合もありますので、それも役場に相談してみては如何でしょうか。

 

なお、相続放棄は、相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述することにより可能です。

ただし、相続放棄とは遺産の全てを放棄するということですから、一部の財産(例えば不動産)だけを放棄するという

ことはできません。したがって、先に遺産の一部でも処分していた場合は、その後に相続放棄を申述しても認められません。

遺産である現金・預貯金を取得して自分のために使っていた場合などがこれに当たります。

 

 

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