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◎相談事例◎ 相続放棄について

2023.02.18

【内容】

20年音信不通だった母が死亡、葬式後に連絡がきました。子供は私ひとりですが、

相続放棄予定です。

現時点で貯金通帳、不動産権利書等を保管していますが、放棄後、こちら書類は

どうすればよいのでしょうか。

次の相続人は母の兄弟姉妹になると思われますが、親交はありません。

 

【回答】

相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てて行います。

そして、相続放棄をした者はその相続に関しては当初から相続人ではなかったものと

みなされます。

相続財産についても、何の権利も有しません。

しかし、その者が相続放棄をしても、次順位の相続人が即時に相続財産を管理することが

できるようになるとは限りません。

場合によっては、相続財産が無管理状態になり、損害が生じる可能性が出てきます。

そこで法律は、次順位の者が相続財産の管理を実際に始めることができるようになるまでは

相続放棄者に管理義務を課しています。

次順位の相続人への相続財産の引き渡しが済めば、管理義務も終了します。

 

管理義務の程度は、「自己の財産と同一の注意をもって」すればよいとされています。

 

管理義務は相続財産の保存に必要な行為を行うことであり、処分は含まれません。

一部でも処分をしてしまうと、相続放棄が認められなかったり取り消されたりする可能性が

あります。

管理に要した費用があれば、それは相続財産の中から支払うことができます。

不適切な管理行為があった場合は、損害賠償責任を負うことになります。

 

なお、相続放棄をしても、その事実を裁判所から後順位者に通知するような制度はありません。

また、自分自身が相続放棄をした際に、それを後順位者に通知しなければならないという法的な

義務もありません。

よって、次順位の方はいつまで経っても自分が相続人になったということに気づかないケースも

あります。

そうなれば、放棄者はずっと相続財産の管理義務を負い続けることになります。

しかも、不適切な管理行為があれば後日損害賠償責任を負わされることになってしまいます。

 

したがって、相続放棄する場合は、次順位の相続人が親交のない方であっても連絡を付けたほうが

賢明です。

そして、放棄後はできるだけ早く相続財産を引き渡すようにすべきでしょう。

 

 

 

 

 

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