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コラム「電話の後ろの声」
2022.12.19
当社では、無料で電話での相続相談をお受けしておりますが、その内容は実に十人十色です。今回は、今でも忘れられない「電話の後ろから聞こえた声」について、お話ししたいと思います。
ある日、相続相談の電話が県外からありました。相手が名乗らなかったため、名前をお尋ねすると、若い女性の声で「匿名でお願いします」と言われました。県外からの電話で、匿名希望となると、経験上高い確率で、「もめているパターン」です。今回もその予想は的中し、女性からの相談はとても重い内容でした。
〈相談内容〉
祖父が亡くなりました。相続人は母と母の姉(伯母)の二人。母は後妻の子で、伯母は前妻の子にあたります。今回、祖父が遺した広大な山林を買いたいという人がおり、母は売りたいが、伯母が反対しており先に進みません。どうしたらよいでしょうか。
回答は、一つしかありません。「伯母さんを説得してください」ということだけです。しかし、その女性は無理だと言い、悲痛な声をあげますが、他に手段はありません。残念ですが、私としても長くお電話しても何も役に立てません。早めにお話しを切り上げようとしていました。
その時、電話の後ろから赤ちゃんの大きな泣き声が聞こえてきました。女性は私に何度も謝りましたが、その泣き声は、私のココロを大きく揺さぶりました。私も人の親、2人の娘がいます。今回の相談の答えは単純明快で、無料相談ではどうしようもなく、弁護士さんを紹介することぐらいしかできません。しかし、このまま伯母さんが売却に賛成しなければ、今 泣いている赤ちゃんの時代まで、この山林の問題が残るかもしれません。相続の専門家ゆえ、先の先の悪い可能性まで、頭に浮かんでしまいます。「なんとか、いい方法はないだろうか?」と考えている自分がいました。
次に聞こえてきたのは、「お経」です。話を聞くと、お経を唱えているのはお母さん(今回の相続人)でした。お母さんは祖父の後妻の子で、小さな頃から、伯母から酷いことばかりされていたそうです。今回の件でも、お母さんは伯母とのやり取りで精神を疲弊してしまい、「半分壊れてしまった」と、その女性は悲しそうな声で話されました。
なんとも悲惨な話です。こんな小説かドラマのような話しが本当にあるのだと思いました。赤ちゃんの泣き声と、精神を病んでしまったお母さんのお経の二重奏で、私のほうがまいってしまいそうでした。そこで私は、次のようなアドバイスをさせていただきました。
「伯母さんにお子さんはおられませんか?もしいらっしゃるなら、その方から伯母さんに話しをしていただいたらいかがですか?あなたと同じ立場であれば、自分の子に問題を残したいと思う人はいないはずです。このままでは、泣いているその子にこの問題が引き継がれるかもしれません。山林を買ってくれる人が、将来また現れるとは限らないでしょう。話し合いが良い方向に進むように、ご親族の間で対話を続けてください」
コメント
「自分と同じリスクを抱える親族を探し、その人と協力する」という、わずかな細い糸のようなアドバイスをして、その相続相談の電話は終わりました。その後、そのご家族がどうなったか知る由もありません。しかし、あの時に泣いていた赤ちゃんが、元気に大きくなって、今は笑顔でいることを私は願っています。「子どもを泣かせない」というのは、人が皆、守らないといけない「人の道」なのですから。
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