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コラム「法人なり」
2022.11.15
「法人なりをしたい」というご要望をよくお受けしますが、目的と手段が逆になってしまっている方が多々いらっしゃいます。今回は、法人なりの「あるべき論」についてお話しします。
【法人なり】------
「法人なり」とは、自分の会社を設立し、「個人事業主」から「会社の構成員」として業を営む形に移行することを言います。不動産賃貸業でいえば、所有している賃貸アパートやマンションを法人に何らかの形で移し、法人を通して対外的なやり取りをするというものです。「法人なり」は、自分だけの会社を作り「社長」になるという、ある種の「夢とロマン」があることで、非常に多くの方からお問い合わせをお受けします。しかし、あまり考えずに相談に来られる方も多いように見受けられます。
以前こんな電話のやりとりがありました。
80代後半の男性(賃貸アパートのオーナー)から突然、「法人なりしたいから、司法書士を紹介してほしい」と電話がかかってきました。そこで私は、「司法書士さんの紹介はできますが、今の税理士さんに法人なりの試算はしてもらっていますか?」と尋ねると、「税理士とは特に相談はしていない。法人なりしたほうが良いと思ったので電話した」とお答えになられました。このまま司法書士を紹介しては、この男性が損をしてしまうかもしれないと思い、私は「法人なりは得することもあれば、損することもあります。一度、ちゃんとした税理士さんに頼んで試算をしましょう。あと、ご家族には事前にお話しをされましたか?ご家族に協力してもらえないと、法人なりはうまくいきません」とお伝えしたところ、そのまま「もういい!」と言ってガチャンと電話を切られてしまいました。
「法人なり」には、設立コストがかかります。また、法人である限り、設立後も継続的にコストがかかります。節税メリットよりコストが上回れば、お金回りが苦しくなります。しかし、それでもそうした試算をせず、「社長になりたい!」という思いだけで「法人なり」される方がたくさんいるのが実情です。
また、法人なりをする醍醐味のひとつとして、家族などを会社の構成員に入れることで、所得を分散でき、かつ、共通の財布として使えるというメリットがあります。これについても、本来は家族みんなで話し合って、全員で「法人なり」を勉強して臨むべきなのですが、家族に相談せずに、一人で会社だけ先に作ってしまう方もいます。そして何年か経って、「会社にしたけどうまくいかない」と言い、「なぜ上手くいかないのかわからない」と私のところに相談に来られるわけです。
コメント
「貨尽きて、而る後に足らざるを知るは、これ量を知らざるなり」
古代中国 春秋戦国時代 斉の国の宰相であった管仲(管子)の有名な言葉です。お金が尽きてから、足りなくなるのに気づくということは、最初に全体の量の把握をしなかったためです。法人を作るというのは、手段の一つに過ぎません。まずは「目的」を定めて分析と計算をし、その目的を達成するために最適な手段が「法人なり」なのかどうかを考えましょう。
年を取ってからの失敗は本当に辛いものです。「法人なり」は言葉の響きの良さから、そうすべきでない人にも「法人なり」を提案する悪質な「自称専門家」がたくさんいます。皆様は、くれぐれも騙されないよう、きちんとした専門家に、しっかりと試算をしてもらいながら検討されることを強くお勧めします。
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