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コラム「遺産の渡し方」

2021.05.20

皆さまのなかには、財産を遺したくない法定相続人がいる方もいらっしゃるでしょう。子どもの素行不良や、離婚・再婚による疎遠、誰が介護をしたかなど、事情は人それぞれです。 今回は、 何らかの事情で遺産の渡し方に「偏り」をつけたい場合の方法をご紹介します。

 

長男だけに遺産を渡したい場合は?

【相談内容】

家を出ていった次男には何も渡したくない。同居している長男に全ての財産を渡したい。

 

例えば法定相続人が長男と次男だけだった場合、このような理由で長男に全てを相続させることはできるのでしょうか。

結論から言うとそれはとても難しいと言わざるを得ません。

「すべて長男に」と遺言書を作成するのは可能ですが、次男には「遺留分」という最低限の権利があります。もし、次男がその遺言書に納得し遺留分請求をしなければそのまま長男が相続できますが、納得しない場合には次男は長男に遺産の4分の1を請求することができます。それに対して長男が抵抗することはできません。

 

遺言書がなかった場合

次男の法定相続分は長男と同じ2分の1です。また、相続の手続きは、すべて双方合意のうえでしか進めることができません。次男にも事情や感情があるでしょう。簡単にいかないことは容易に想像できます。

 

 

まずは遺言書を

遺言書を作成したとしても「遺留分」に勝つことはできません。しかし、遺言がなければ2分の1どころ、「手続きできない」「分割できない」という最悪の状況に陥る可能性もあります。そこで大事なことは遺留分を考慮して遺言を作成することです。次男の実印を必要とせず、相続手続きが進められ、かつ「長男4分の3、次男4分の1」までは確定させることができます。

 

おススメする遺言の書き方

このようなケースの時は「A銀行の通帳は次男、それ以外のすべては長男」という遺言をのこしてもらうようにしています。

次男に相続させるA銀行の通帳は、遺言書を書くときに残高0円でも構いません。遺言書には金額を一切明記しません。

遺言を書いた後、次男と和解することもあるかもしれません。長男が、次男と対立することを望まないかもしれません。その際に、遺言を書き直さなくてもA銀行の残高を増減させることで、いつでも何度でも次男へのこす金額を変えることができます。

 

コメント

「均等に分ける」「3分の1ずつ分ける」など、分数を指定した遺言書はやめましょう。その後なんらかの事情があっても偏りを調整することができません。

お勧めは、誰に相続させるかを通帳ごとに指定する遺言を書いたうえで、同時に生命保険で偏りをつけていく方法です。遺言書や生命保険についてお悩みのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

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