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コラム「ありえない」
2020.07.20
新型コロナウイルスが猛威を奮っている今、私たちは「まさか」と思うことの連続の中にいます。今回は、私が今でも忘れることができない、「ありえないこと」が起こったご家族の事例をご紹介します。
ありえないことを想定しておく
新型コロナは、重病化するスピードが大変早く、亡くなった方はおそらくかかったことさえわからなかったのでは、と言われています。家族であっても最期を看取ることすらできないとの報道は、私たちに大きな衝撃を与えました。今、私たちの周りでは、「まずありえない」と考えられていたことが実際に起こっているのです。
私には、今でも忘れることができない「ありえない経験」があります。10年近く前になりますが、50代後半の男性が相談に来られました。内容は「最近、父親が自宅で寝たきりの状態になりました。すると、とある人物から母親に電話がかかってくるようになったのです。電話がくるたびに母親は泣いています」との相談でした。
詳しく聞いてみると、電話をかけてきていたのは、父親と先妻との子、つまり相談者にとっては腹違いの兄にあたる人物だったそうです。相談者は、母親からそれを聞き、父親は再婚であったこと、母親は後妻であったこと、そして、一人っ子だと思っていた自分に兄がいることを、その電話をきっかけに初めて知ったのです。そして兄は、電話口で母親に「オヤジ、体調悪いんだろ? …なあ、アンタ。『遺留分』って言葉を知っているかい?」などと言っていたというのです。
悩んだ末、寝たきりの父親に遺言書を書いてもらうことにしました。遺留分についてはきちんと対応しなければなりませんが、少なくとも先妻の子との「遺産分割協議」は不要となります。私たちはご自宅を訪問し、父親と面談して、「遺言書を書きたい」という意向を確認しました。内容は「全財産を妻(後妻)に相続させる」というとてもシンプルなものです。作成する日取りもほどなく決まり、公証人に自宅まで出張してもらうことになっていました。
しかし、ここで「ありえないこと」が起きました。父親の体調が急変したのです。私たちは作成予定日の前日、急遽、遺言を作成する場所を「病院」に変更しました。しかし、病院に公証人や私たちが集まった時、すでに父親は昏睡状態となり、人工呼吸器がつけられ、何本もの管がベッドの周りに伸びていました。
相談者と母親は、公証人や私たちに必死に訴えました。「まだ父に意識はあるのです。『はい』の時は手を1回握ります。『いいえ』の時は2回握ります。なんとか公正証書遺言を作ってもらえませんか?」。それはそれは、必死の訴えでした。
しかし、公証人は首を縦には振ってくれませんでした。残念ながら、公正証書遺言を作成することはできなかったのです。私はあの時のやりきれなさを、一生忘れることはできないでしょう。
コメント
遺言書も家族信託も、いつかいつかと思っていては、いつまでも作成できません。「ありえないこと」はいつでも起こりうるものです。「カラダもココロもお元気なうちに!」。皆さま、これを機に、ぜひ思い立っていただけたら幸いです。
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